3分名著シリーズ

「“驚き”は生きる力──自然に心をひらく5つの習慣」レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』に学ぶ。

雷の夜、けんた食堂と“自然の感性”

昨夜は、雷が鳴っていた。

思い出したのは、「けんた食堂」さんのことだった。
料理を通して“自然をいただく”ことの意味や、季節の尊さを静かに伝えてくれる人。
あの人の投稿や空気感に、ずっと惹かれてきた。

ある日ストーリーズで質問を返していた。
好きな本はなんですか?この質問に紹介されていたのが、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』だった。

料理と自然。
一見、関係ないようでいて、ものすごく深いところでつながっている。
生き物をいただくという行為。季節を感じる食材。
それら全部が、「自然の営み」として、まっすぐに通っていることを、その人の世界観から学んできた気がする。

だからこそ、“この本が好き”と紹介されていたことに、なんかすごく納得がいった。
「この人の感性の源泉は、きっとここにあるんだろうな」と思った。

タイトルがかっこよかったのもあって、すぐにオーディブルで探して再生した。
正直、内容なんて全然知らなかった。

でも聴き進めるうちに、だんだんと背筋が伸びるような、
小さな後ろめたさを突かれるような、そんな感覚が湧いてきた。

「自然に触れるチャンスは、たしかにたくさんあった」
「でも、“忙しいから”を言い訳にして、全部スルーしてきた」

特に思い出すのは、釣りのこと。
子どもの頃、海の近くの町で育って、
浜辺に出ればすぐに糸を垂らせる環境があったし、
山にあるダムや池にも、しょっちゅう出かけていた。

魚が掛かるまでの静けさ。
水面がざわつくときの、心のざわめき。
あの時間の中には、カーソンが語っていた“ワンダー”がちゃんとあった。

今、自分がそれを持っていないのは、環境のせいじゃない。
「驚く時間」を、後回しにしていただけだ。

カーソンは、この本でこう語っていた。

世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー」
神秘さや不思議さに目を見張る感性を授けてほしいと頼むでしょう。

知識や情報じゃなく、“驚く力”。
いま大人にこそ必要なのは、きっとそっちの方じゃないか。
自然に触れることは、何かを「知る」ことよりも、
まず“感じること”から始まる──
そんな当たり前を、思い出させてくれた読書体験だった。

デジタル疲労の時代に、なぜ“ワンダー”か?


スマホの画面を一日に何時間見ているか、ちゃんと把握している人は、案外少ない。
ある統計では、世界平均のスクリーンタイムは 6時間38分
日本でも若者(10〜19歳)の平日平均は 約5時間、その多くがSNSと動画視聴に費やされているという。
スマホを触っている時間と、思考が散らかっている時間は、おそらくほぼ一致している。

画面越しに流れてくる情報は、ほとんどが“刺激”だ。
次々と押し寄せるニュース、誰かの完璧な日常、誰かの怒り、誰かの承認欲求。
気づかぬうちに感情の起伏を奪われ、心が“鈍くなる”。

カーソンが『センス・オブ・ワンダー』で語っていたのは、
そうした鈍化に対する、“感覚の回復療法”のようなものだったのだと思う。

「美しさ、神秘、驚異──それらは目の前にある。見る目と、感じる心があれば、誰にでも見える」

「感じる心」は、放っておけば鈍ってしまう。
だからこそ、カーソンは“ワンダー(驚き)”という言葉を使ったのだ。
それは、子どものようにただ無垢に喜ぶことではない。
むしろ、大人こそが訓練しなおさなければならない、「心の筋肉」みたいなものなのだ。

思い返してみれば、自分も釣りをしていた頃は、
五感を全部開いていた気がする。
風の向き、水の匂い、雲の流れ、魚の気配。
スマホでは一切取得できない“微細な世界”が、そこにはあった。

今は、どうだろう。

最新情報には敏感だけど、
季節の変化には鈍感になっていないか。
誰かの投稿には反応できても、
目の前の自然に「おぉ」と声を漏らすことが、いつからできなくなったのか。

「自然に触れよう」と言われると、どこか義務っぽく感じてしまうかもしれない。
でもカーソンは、「義務」ではなく「喜び」として自然と向き合っていた。

驚くことは、回復すること。
感動することは、今ここに“生きている”という感覚を取り戻すこと。

だからこそ、“スクリーン越しでは手に入らない驚き”が、今の時代にこそ必要なのだ。

“ワンダー”は技術ではなく、習慣だった


“センス・オブ・ワンダー”と聞くと、
どこか特別な才能のように感じてしまうかもしれない。
生まれつき自然と調和できる人だけが持っている、
ある種の「美意識」や「感受性」のようなものだと思っていた。

でもカーソンは、そうではないと言う。
驚き、感じる力は、“鍛えられる感覚”だ。

「この世界の美しさや神秘、そして奇跡のようなものに、
感動する心さえあれば、人は年齢に関係なく感じ取ることができる」

言い換えれば、
ワンダー(驚き)は、生まれつきではなく、習慣だ。
そしてそれは、誰かと一緒にいることで、もっと深く育つ。

カーソンが大切にしていたのは、
“共に驚く”という体験だった。

子どもと一緒に雷の音を数える。
夜空に広がる星座を一緒に見上げる。
小さなカニが砂を掘る音に耳を澄ます。

それは、特別なスキルでもなければ、教育でもない。
たった数分でも、「その瞬間を誰かと共有する」ということ。
その“共感”が、「感じる力」の再起動スイッチになる。

「一緒に驚くことは、愛することのはじまり」

釣りも、思えばそうだった。

誰かと並んで竿を垂れながら、
何も起きない時間の中で自然を感じる。

急に糸が走ったときの、あの無言の目配せ。
「今の見た?」って言葉にしなくても伝わる興奮。
それはまさに、共に驚く体験だった。

感性はひとりでも磨けるけれど、
誰かと共有できた瞬間に、もっと深く、もっと長く、残る。

ワンダーは、知識やテクニックの前にある。

“共に感じる習慣”さえあれば、
それは何歳からでも、どんな環境からでも取り戻せる。

スマホを置いて、空を見上げるだけでいい。
そのとき、隣に誰かがいれば、なおのこといい。

ナチュラル・デトックス実践編|“驚き”を取り戻す5つの習慣


驚きは、意識しさえすれば、日常のそこかしこに潜んでいる。
むしろ、毎日の暮らしの中で“目に留める力”さえあれば、それは勝手に現れてくれる。
だからこそ、驚くことは「特別な旅」や「難しい修行」ではなくて、習慣でいい。

ここでは、カーソンの思想に触れてから自分なりに試してみた、小さな実践5つを紹介します。

どれもスマホを置いて、“いま”の感覚を戻すだけ
(正直、子どもと一緒にやれたらもっと楽しいだろうな、と思っています)


1|森で「3分音ハンティング」

静かな森の中で、立ち止まる。
目を閉じて、3分間、耳だけを使って“音を採集”してみる。

鳥の声、風の通り道、木々の軋む音。
目で見るよりずっと豊かに、自然は語っている。
コツは、聞こえたものを「言葉にしてリスト化」すること。

おすすめ:録音はNG。あくまで「いまの耳」で感じることが大切。


2|夜の「星座ウォーク」

時間は夜8時〜10時くらいが理想。
大人でも、星に詳しくなくてもかまわない。
“星をなぞる”という行為そのものに、子どもみたいな興奮がある。

おすすめ:スマホの星座アプリは使わず、指でなぞるのが味わい深い。


3|雨の日の「匂い採集」

雨上がりに外に出て、鼻をつかって“においの違い”を嗅ぎ分けてみる。
土のにおい、濡れたアスファルトのにおい、葉っぱのにおい。

「ペトリコール(Petrichor)」と呼ばれる独特の芳香は、雨が植物や土と対話するような瞬間。
無意識だった感覚に、ラベルを貼っていく行為が“驚きの筋トレ”になる。

おすすめ:自分の“好きな匂い”を見つけて名前をつけてみる。


4|潮の引いた浜辺で「足あとを辿る」

干潮時の砂浜を、足あと探しながら歩いてみる。

小さなカニや鳥、子どもの足あと、大人の靴跡。
そこには、時間と行動の痕跡がある。
「この足あとはどこから来て、どこへ向かったのか」
そんな想像を巡らせることも、自然との対話のひとつになる。

おすすめ:地元の潮見表アプリで干潮時間を事前チェック。


5|ベランダに「空の記録ノート」を置く

家から空が見えるなら、その“変化”を記録する。

雲の形、色、動き。
朝と夕方でどう変わるか。昨日と今日で何が違うか。
それを、ノートに日付とひとことメモだけ残す。

「書くために空を見上げる」という小さな習慣が、
自然との“関係性”を回復させてくれる。

おすすめ:名前をつけると愛着が湧く(例:空ノート、そらびより帳 など)


どれも、やること自体はシンプルだけれど、
思った以上に心がスッと整ってくる。

「感動したい!」と肩に力を入れなくていい。
ただ、“今ここ”にある自然に気づくだけでいい。

そんな習慣が、ワンダー=驚きの感度を、じわじわと取り戻してくれる気がしています。

子どもにとっても、親にとっても

知ることは、感じることの半分も重要ではないと硬く信じています。

“感じる力”は、孤独に打ち勝つ力でもある


私たちは、日々の情報にさらされすぎて、
時に“感じる力”の存在そのものを忘れてしまう。

でも、不思議なもので、
驚きはいつだってすぐそばにある。
それはスマホの画面の向こうではなく、
目の前の空や木々や、潮の香りや、静かな音の中に潜んでいる。

カーソンが言ったように、
感じる心さえあれば、人は年齢に関係なく驚くことができる。

そして驚きは、単なるエンタメではない。
それは、心の膜をやわらかくしてくれる“潤滑油”であり、
不安や孤独でぎゅっと縮こまった感情を、すこしだけほどいてくれる“ほぐし”でもある。

自然とつながる時間は、誰とも喋らなくていい。
でも、「自分」とちゃんと出会える
それは、孤独に押しつぶされそうな日にも、“自分を感じ直す”ための静かな方法だと思う。

そして、それは誰にでもできる。
特別な知識も、スキルも、準備もいらない。
ただ、ほんの少しだけ足を止めること。
そして、耳を澄ませること。


今夜、ほんの3分でもいい。
灯りを消して、耳を澄ませてみてください。

それが、あなたの“センス・オブ・ワンダー”のはじまりかもしれません。

小林聡美さんの朗読がこれまた素敵なので、耳読書もオススメです!

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まっきー

「マキログ」は、身体を鍛え、心を整え、思考を磨く——そんな“日々の実験”を記録するブログです。 本の要約や海外インフルエンサーの翻訳を通して、内側から人生を整えていく感覚を綴っています。

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