目次
忙しさに呑まれていた日々
朝から通知が鳴る。
タスクをこなし、メールを返し、SNSをちら見しては、また次の予定へ。
夜になっても、どこか脳がざわついていて、寝つきも浅い。
──そんな毎日を過ごしているうちに、ふと気づいたんです。
「あれ、自分って、どこにいるんだっけ?」って。
忙しさの中で、気づけば“自分”の感覚を見失っていました。
呼吸も、感情も、まるで他人ごとのようにぼんやりしていて。
「今」を生きているはずなのに、意識はずっと、過去か未来に。
そんなときに出会ったのが、『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』という一冊でした。
こんな方におすすめ
- マインドフルネスに興味がある
- ストレス社会で疲弊している
- 集中力・記憶力を高めたい
スタンフォード流マインドフルネスとは?
著者のスティーヴン・マーフィ重松さんは、スタンフォード大学で心理学を教える傍ら、
プロスポーツ選手や医療従事者、企業のリーダーたちにもマインドフルネスを指導しています。
本書では、単なる「瞑想法の解説」ではなく、
“自分と向き合う力”としてのマインドフルネスをやさしく、でも深く伝えてくれます。
キーワードは、たとえばこんなものです。
ヴァルネラビリティ(弱さ)
オーセンティシティ(本当の自分)
つながり、聴く力、受容、感謝、責任
どれも、今を生きる私たちがつい忘れてしまいがちな、けれど確かに“必要だった何か”。
本書では、「今この瞬間に注意を向ける力」だけでなく、
「人生とどう向き合うか」という、より根本的な問いが静かに差し出されています。
僕自身、最初は「集中力アップ」とか「ストレス軽減」といった効果を期待して読み始めました。
でも読み進めるうちに、それ以上に「自分の輪郭を取り戻していく感覚」がありました。
この記事では、とくに印象に残った以下の2つのテーマを中心にご紹介していきます。
オーセンティシティ(本当の自分を知る)
受容(思い通りにならないことを受け入れる)
マインドフルネスの基本
本書の中で定義されているマインドフルネスを紹介すると
- 「今この瞬間」にたいし気付き目覚める力
- 私たちの暮らしの中にすでにある幸福に気付く力
- 今という瞬間に価値判断を加えることなく、注意を払う力
- 「今」を人生最大の焦点とすること
言葉は違えど、今まさにこの瞬間のことを指しておりマインドフルな状態と言えます。
もちろん僕も皆さんも「今この瞬間」を生きてはいるんですが、それはマインドフルな状態ではありません。
誰もが日々、仕事に学校に家事に育児に追われています。
明日の会議、テスト、献立など常に未来のことを考え、その合間にテレビやスマホ等で情報をインプットする。
脳みそは常にフル回転で、さまざまな物事を処理してくれています。
この状態のことをマインドレスネスといいます。
目を閉じ自分の呼吸に集中することで、マインドフルな状態に脳をコントロールすることができます。
「今に意識を戻す」ことは、“戻る練習”だった
マインドフルネスとは、「今この瞬間に意識を向けること」。
そう聞くと、なんだか簡単そうに聞こえるかもしれません。
でも実際に瞑想をしてみると、驚くほど“今”にいられない自分に気づかされます。
呼吸に集中しようとしても、頭の中では別のことが浮かんでくる。
「あのときの言い方、まずかったかな」とか
「明日の会議、うまくいくだろうか」とか。
気づけば、またどこかへ意識が飛んでいて、呼吸はもう置き去りです。
けれど、著者はこう言います。
「大切なのは“集中し続けること”ではなく、“戻ってくること”です」
そうか、戻ってこれれば、それでいいんだ。
むしろ、何度も戻る練習こそがマインドフルネスなんだ。
この言葉を読んでから、瞑想に対するハードルがすっと下がりました。
「戻ってきていい」
そう自分に許すだけで、思考の波に飲み込まれても、また静かに呼吸に戻れる。
日々の生活でも同じです。
つい他人の言葉に反応してしまったとき。
過去の失敗を引きずりそうになったとき。
未来の不安に心がざわついたとき。
そんな瞬間に、「今に戻る」選択肢があると知るだけで、
心の重心が少し安定するような気がしています。
「本当の自分」とは、静かに問い続けるものだった
「あなたは誰ですか?」
このシンプルな問いに、僕はずっと答えに詰まってきました。
仕事、役割、性格、趣味──そうした“自分を説明する言葉”はあっても、
どれもなんだか表面的で、本当の自分を表している気がしなかったからです。
本書で語られる「オーセンティシティ(authenticity)」という言葉は、
そんな僕の胸に静かに残りました。
「オーセンティシティとは、自分が何者かを知り、その感情・思考・行動を“選び直す”力である」
自分を知るとは、「決めつけること」ではなく、
日々の思いや言葉をマインドフルに見つめ直すこと。
今日の自分は、本当に「自分らしい」判断をしただろうか?
誰かの期待や、過去のクセに流されていなかっただろうか?
そうやって問い続けることが、
“本当の自分”を少しずつ掘り起こしていくことなのかもしれません。
「受け入れる」ことで、人生は自由になる
「仕方がない」と言うのは、あきらめに聞こえるかもしれません。
でもマインドフルネスにおける“受容”は、もっと深く、もっと静かなものです。
人生には、どうしようもないことがたくさんあります。
病気、老い、別れ、死。
自分の力では変えられない現実を、僕たちはいくつも抱えて生きています。
そんなとき、必要なのは「抗う力」ではなく、「受け入れる力」かもしれません。
本書では、スティーブ・ジョブズが語った有名なスピーチが紹介されていました。
彼は膵臓がんと診断されたあと、こう語ります。
「自分がいつか死ぬと理解することは、人生における大きな選択を助けてくれる最良の方法だ」
死という“どうにもならない現実”を受け入れたとき、
人は初めて「今をどう生きるか」に集中できるのだと。
──僕もまた、いつも「もっと先の自分」ばかりを思い描いてきました。
でも、今のこの瞬間にしか触れられないものがある。
今、ここにしかいない自分を、静かに抱きしめるように生きていく。
受容とは、無力になることではなく、
自分の人生をちゃんと「引き受ける」ことなのかもしれません。
5分でできるマインドフルネス瞑想の始め方
どんなに知識を得ても、どれだけ本を読んでも、
マインドフルネスは“体験して初めて”自分のものになります。
本書でも紹介されている、もっとも基本的な「マインドフルネス瞑想」は、
特別な道具も環境も必要ありません。
たった5分、自分の“呼吸”に意識を向けるだけです。
📌 スタンフォード式|基本の3ステップ
1. 姿勢をととのえる
椅子に座る、または床にあぐらをかき、背筋をまっすぐに。
両手は太ももの上に置き、肩の力を抜く。
2. 目を閉じて、呼吸に集中する
「吸っている」「吐いている」と、ラベルをつけるように意識する。
深く呼吸しようとしなくていい。自然に任せて。
3. 雑念が出ても責めず、静かに“戻る”
考えごとが浮かんでもOK。気づいたらまた呼吸へ。
その「気づいて、戻る」を繰り返すだけ。
目安時間:5〜10分(慣れないうちは3分でもOK)
🧘♂️ はじめて瞑想したときの正直な話
僕がこの瞑想を初めてやったとき──
正直、5分がものすごく長く感じました。
「何分経ったんだろう…?」
「集中できてないな…」
「明日のこと考えてた…」
「呼吸に戻れない…」
「っていうか、これ意味あるのか…?」
思考は次から次へとやってきて、呼吸に意識を戻すどころじゃなかった。
最初は、たった3分のつもりが途中で時計を見てしまったこともあります。
でも、そんな自分を責めなくていいのが、マインドフルネスの優しいところ。
「今、余計なこと考えてたな」
「今、イライラしてるな」
そう“気づけた”こと自体が、すでに大きな一歩なんです。
僕が“6分”だけ続けている理由
今では、朝起きてすぐに6分だけ瞑想をしています。
アラームを6分後にセットして、静かに座る。
呼吸に集中したり、気づいたら戻ったりを繰り返す。
それだけのことだけど、始めてから気づいたんです。
朝の時間が「整っている」と感じられる
自分の内側がざわついていることに気づける
1日中、なんとなく“反応”ではなく“選択”ができる感覚
劇的な変化ではないけれど、
“言葉の重さ”や“選択の余白”が少しだけ増えていく感じ。
ああ、マインドフルネスって「整えること」なんだなって、やっと少し腑に落ちてきました。
💬 読者のあなたへ、ひとつの提案
もし、最近ちょっと「疲れてるな」と感じていたら。
もし、自分の本音がどこかに置いてきぼりになっていたら。
1日たった5分、スマホを置いて、
呼吸だけに意識を向けてみてください。
うまくできなくても、雑念だらけでも大丈夫。
あなたが今“ここ”に戻ってきたこと自体が、すでにギフトだから。
“静かな自分”と出会うための2つのワーク
マインドフルネスは、
「忙しさの中でも、ふと立ち止まる力」を育ててくれます。
それは、特別な場所や時間がなくても始められる。
だからこそ、今日からすぐにできるシンプルなワークを2つご紹介します。
🪞 ワーク1|「ただ“気づく”だけの1分間」
やることはとても簡単です。
1日のどこかで、タイマーを1分だけセットしてください。
そして、その1分間はスマホを置いて、ただこう問いかけてみてください。
「今、自分はどんな感情を抱えている?」
不安
焦り
イライラ
淡々とした虚無
意外と穏やかさ
なんでもかまいません。
「良い・悪い」と評価せず、ただ“気づく”だけ。
ポイントは、“言語化”までしなくてもOKということ。
名前がつかなくても、「なんかモヤッとしてるな」で大丈夫。
この「気づきの1分間」を習慣にするだけで、
“無自覚な反応”が、“自覚的な選択”に少しずつ変わっていきます。
✉️ ワーク2|「“今の自分”に手紙を書く」
これは、夜におすすめのワークです。
1日の終わりに、紙でもスマホでもかまいません。
「今の自分」に向けて、短い手紙を書いてみてください。
たとえば…
今日、ちょっと頑張りすぎたかもね
あの言い方、気にしてるよね。でも大丈夫
ちゃんと自分に戻ってこれてえらいよ
明日も、静かに自分でいられますように
書き終わったら、それを読み返さずにそっとしまっておきます。
続けていくうちに、「自分をいたわる言葉」が少しずつ育っていきます。
それは、外の評価に振り回されない、あなた自身の“内なる声”の種になるはずです。
☁️ 変わるのは、言葉ではなく“言葉を選ぶ自分”
マインドフルネスは、
なにか新しいスキルを身につけるというよりも、
すでにある“静かな自分”に戻っていくための練習です。
「この瞬間に、戻ってこれる」
その実感があるだけで、
仕事の選び方、人との向き合い方、そして自分へのまなざしも、
ほんの少し、やわらかくなっていきます。
“今に戻る力”は、誰の中にもある
「マインドフルネス」と聞くと、
どこかスピリチュアルだったり、意識高い人のためのもの──
そんなイメージが先に浮かぶかもしれません。
でも本書『スタンフォード大学 マインドフルネス教室』を読んで、
僕の中にあった先入観は、静かにほどけていきました。
呼吸に戻る。感情に気づく。自分を責めずに、また戻る。
ただそれだけの、でも確かな練習が、
“生き急ぐ毎日”の中に、深呼吸のような余白を生んでくれます。
最後に、そっと問いかけてみてください。
あなたは今日、自分の呼吸に気づく瞬間がありましたか?
最近、自分の本音に耳を澄ませたことはありましたか?
「今ここ」にちゃんと戻ってこれたのは、いつでしたか?
どれも、すぐに答えが出なくていい。
でも、その問いを持ち歩いてみるだけで、
きっと明日の過ごし方が、少しだけ変わるはずです。
マインドフルネスとは、
“生き方のトーン”を整える習慣かもしれません。
誰かに認められるためではなく、
焦らず、慌てず、でも誠実に「今」を生きるために。
まずは、1分の静けさから。
今日のあなたに、そっとおすすめします。
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