現代の賢人たち

ホルモジ流『時間設計』──20年分の無駄を取り戻す7つの投資【日本版】

“努力の限界”を超えるのは「時間の使い方」だった

仕事、家事、育児、副業、そして趣味。
やること、やりたいことが多すぎて、気づけば一日が終わっている。

「時間がない」を言い訳に、いろんなことが中途半端になる日もある。

正直、頑張っているはずなのに、なぜか“余裕”がない。

朝から満員電車に揺られ、帰宅して気づけば23時。
そんな生活の中で、ふと「このままでいいのか」と思う瞬間がある。

アメリカの起業家、アレックス・ホルモジ(Alex Hormozi)は、そんな状態をこう呼ぶ。

「You’re not out of time. You’re misusing it.」
(時間がないんじゃない。使い方を間違えているだけだ)

ホルモジの哲学は、派手な成功論ではない。
彼の信条はシンプルだ。

“時間は、稼ぐものではなく設計するものだ。”

「時は金なり」を地で行くような彼の流儀は、“外注して楽をする”という意味ではない。

むしろ、自分の頭の中を整理し、「何に時間を使うか」を意識的に選び直す思想だ。

彼の思想では徹底的に外注をし、自分の時間を買い戻すことを重視している。

けれど、僕たちは家事代行や外食に頼り切る前に、「仕組み化」「習慣化」「考え方のアップデート」でそれを実現できる。

つまり、お金だけではなく“思想”で時間を買うということ。

僕自身、ホルモジの言葉に出会う前から、「全部やる」より「どうやってやるか」を考えるようになった。

皆さんも、考えていると思う。

今回はホルモジの“時間設計の流儀”を、
日本版として――僕らの実生活により近い形で実践できるよう、噛み砕きながら紹介していく。

日本版・時間を買う7つの習慣

「外注できないなら、仕組みにしよう。」

ホルモジは、「お金で時間を買う」という考えを極限まで突き詰めた人物だ。

食事も、洗濯も、掃除も──できる限り外注し、自分の時間を「より価値の高い活動」に再投資していく。

けれど、僕たちの日常ではそう簡単にはいかない。

家事代行や外食に頼り切るのは現実的ではないし、家族構成や生活リズムもそれぞれ違う。

でも、「仕組み化」や「習慣化」をうまく使えば、同じ思想を“お金を使わずに”日常へ実装できる。

つまり、お金ではなく“思考と構造”で時間を買うということだ。

たとえば僕の場合、
平日は考えずに動けるように、週末に無水カレーを仕込み、鶏むね肉を120〜150gずつ小分け冷凍しておく。

朝食は無水カレーを解凍して食べる。

お昼のお弁当は鶏肉を炒めて卵2つを目玉焼きにし、白ご飯の上に乗せるだけ。

食事を“選ぶ”時間をなくすだけでも、1日のリズムが整う。

通勤時間にはAudible(オーディブル)を聴いて、“移動”を“インプット”に変える。

出張の日は“思考の整理日”として、普段できないアイデア出しや文章構成の時間にあてている。

こうした小さな工夫でも、「外注」の代わりに“自分の設計で時間を買う”ことはできる。

ホルモジ原典|「時間を買う」7つの投資

ホルモジは「お金で時間を買う」という思想を徹底して生きている。
自分がやらなくてもいいことはすべて外注し、
“1日を24時間以上に伸ばす”ように仕組み化している。

#項目ホルモジの実際の行動・言葉
1食事の外注「Uber Eatsや宅配ミールで1日2食固定。料理・片付けの時間をすべて削る」
2洗濯サービス「Drop-off(預け洗い)を使い、1か月60〜80ドルで16時間を節約」
3掃除の外注「清掃スタッフに毎週依頼。自分では触らない。時間単価を守るため」
4睡眠最適化「耳栓・遮光カーテン・冷却マットレス。睡眠は最強の投資」
5庭メンテ「芝刈りや掃除はすべて外注。『1時間=自分の時給』で考える」
6通勤ドライバー「移動はUberか自動運転で“仕事タイム”に変える。ツイートもここで書く」
7飛行機の時短「JSXなどのセミプライベート便を利用。保安検査ゼロで1日を買い戻す」

「お金で時間を買うのは、贅沢じゃない。
未来の自分に“再投資”する行為だ。」
― Alex Hormozi


日本版 翻訳|「仕組みで時間を買う」7つの習慣

ホルモジのように全てを外注するのは現実的ではない。
けれど、考え方の本質──“時間の再投資”──は、
日本的な仕組み化や習慣設計でも十分に実現できる。

#項目日本版 実践アイデア
1食事の設計週末の作り置き・固定メニュー化(例:無水カレー・鶏むね肉の小分け冷凍)
2洗濯の設計「干さない」仕組み(乾燥機+ハンガー収納で畳む時間ゼロ)
3掃除の設計ルンバ+5分掃除ルール(掃除を“思考停止で回す”)
4睡眠の設計寝る時間固定+スマホ遠ざけ(脳を休めるためのルール)
5持ち物の設計“持たない暮らし”で管理を減らす(庭や物を増やさない)
6通勤の設計通勤時間を“学習タイム”に変える(Audible・読書・構想メモ)
7移動日の設計“移動日”を“思考日”に変える(出張=アイデア整理の時間)

ホルモジは「金で時間を買え」と言うが、
僕たちは「思考で時間を設計する」ことができる。

“決断・手間・疲労を減らすデザイン”こそ、
僕らにとっての“時間を買う”ということだ。

「決断を減らす」と集中が戻る

ホルモジは毎日、同じ服を着る。
それはファッションではなく、脳のメモリ管理だ。

この考え方は、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなど、多くの創造的リーダーたちも実践している。

彼らに共通するのは、「決断のためのエネルギーを、重要な判断に残す」という姿勢だ。

これは心理学的にも「Decision Fatigue(決断疲れ)」と呼ばれる現象で、
人は1日に約3,000〜5,000回の小さな決断を無意識に行っており、
それが思考力や集中力をじわじわと削っていくとされている。

朝ごはん、服、通勤ルート、昼食、夜の予定──。
そうした“些細な選択”を減らすだけで、思考の余白は確実に増える。

「やることを増やすより、“考えずにできること”を増やす。」

たとえば、朝の服を3パターンに固定する。
通勤カバンの中身を常に同じにする。
昼食をルーティン化する。

それだけで、1日の「迷い」が消え、思考のエネルギーが戻ってくる。

結局のところ、“決断を減らす”とは、思考の余白を守る習慣設計なのだ。
そしてそれこそが、ホルモジの「時間を設計する」思想の、いちばん身近な入り口でもある。

時間の再投資先は“自分のエネルギー”

削った時間で何をするか。

ホルモジは「学び」「健康」「思考」に再投資するという。
それは、忙しい日常の中でも、

  • 10分でも本を開く
  • 20分でも筋トレする
  • 15分でも散歩して考える

といった小さな行動でいい。

すぐに成果が出るわけではない。
けれど、“1%でも昨日の自分より成長する”という意識が、やがて大きな差になる。

習慣は、努力ではなく構造で続けるものだ。

小さな行動をスモールステップで積み重ねると、
それが複利のように効いてくる。

つまり、今日の10分が、1年後の自分の基礎体力をつくる

「時間を浪費するのは罪じゃない。
何に使ったかを考えずに終えることが、いちばんの浪費だ。」

ホルモジの“時間設計”は、効率のためではなく、自分のエネルギーを回復させるための投資でもある。

その意味で、時間を削ることは「生き方の余白」を取り戻すことなのだ。

その余白を「お金」「仕組み」「習慣」で買い戻そう。

時間の奪い合いから、時間の設計者へ

結局、人生は「誰がいちばん時間を上手に使えたか」で決まる。

周りより速く走ることが偉いわけじゃない。
自分のペースで“生きる設計”を取り戻すこと。

それがホルモジの“時間設計の哲学”だ。

彼はこう語る。

「人生の成功は、“何を手に入れたか”ではなく、
“どれだけ自分の時間を取り戻せたか”で決まる。」

ホルモジにとって、時間とは通貨であり、資産であり、人生そのものだ。

人はお金を稼ぐために時間を使うが、彼は逆に「時間を稼ぐためにお金を使う」。

そしてその思想は、“効率化”の話ではなく、“自由”の話だ。

「お金は稼ぎ直せる。時間は二度と戻らない。」

僕たちはいつの間にか、“時間の奪い合い”の中で生きている。

仕事、家事、育児、SNS、情報──
すべてが「今すぐ」「早く」と迫ってくる世界で、自分の時間を他人の都合に切り売りしてしまう。

でも本当は、時間は奪われるものではなく、設計できるものだ。
少しずつ、選び方を変えていけばいい。

10分でも、15分でも、自分のための時間を“買い戻す”こと。
それはお金ではなく、意識の投資でできる。

「今の自分が未来の自分の雇用主だ。
今日の1時間の使い方が、5年後の人生を決める。」
― Alex Hormozi

この言葉を初めて聞いたとき、
「時間の使い方を変えることが、人生のデザインを変えることなんだ」と腑に落ちた。

焦って生きるのをやめて、自分のペースで、選んで、積み上げていく。

そうやって一つひとつ“時間を取り戻す”ことこそ、
僕たちができるいちばん確実な自己投資だと思う。

時間は“稼ぐ”ものじゃない。
“設計する”ものだ。

そして、設計できる人が、ほんとうの意味で「自由な人」なのだ。

【参考動画】

 

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まっきー

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