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“努力の限界”を超えるのは「時間の使い方」だった

仕事、家事、育児、副業、そして趣味。
やること、やりたいことが多すぎて、気づけば一日が終わっている。
「時間がない」を言い訳に、いろんなことが中途半端になる日もある。
正直、頑張っているはずなのに、なぜか“余裕”がない。
朝から満員電車に揺られ、帰宅して気づけば23時。
そんな生活の中で、ふと「このままでいいのか」と思う瞬間がある。
アメリカの起業家、アレックス・ホルモジ(Alex Hormozi)は、そんな状態をこう呼ぶ。
「You’re not out of time. You’re misusing it.」
(時間がないんじゃない。使い方を間違えているだけだ)
ホルモジの哲学は、派手な成功論ではない。
彼の信条はシンプルだ。
“時間は、稼ぐものではなく設計するものだ。”
「時は金なり」を地で行くような彼の流儀は、“外注して楽をする”という意味ではない。
むしろ、自分の頭の中を整理し、「何に時間を使うか」を意識的に選び直す思想だ。
彼の思想では徹底的に外注をし、自分の時間を買い戻すことを重視している。
けれど、僕たちは家事代行や外食に頼り切る前に、「仕組み化」「習慣化」「考え方のアップデート」でそれを実現できる。
つまり、お金だけではなく“思想”で時間を買うということ。
僕自身、ホルモジの言葉に出会う前から、「全部やる」より「どうやってやるか」を考えるようになった。
皆さんも、考えていると思う。
今回はホルモジの“時間設計の流儀”を、
日本版として――僕らの実生活により近い形で実践できるよう、噛み砕きながら紹介していく。
日本版・時間を買う7つの習慣

「外注できないなら、仕組みにしよう。」
ホルモジは、「お金で時間を買う」という考えを極限まで突き詰めた人物だ。
食事も、洗濯も、掃除も──できる限り外注し、自分の時間を「より価値の高い活動」に再投資していく。
けれど、僕たちの日常ではそう簡単にはいかない。
家事代行や外食に頼り切るのは現実的ではないし、家族構成や生活リズムもそれぞれ違う。
でも、「仕組み化」や「習慣化」をうまく使えば、同じ思想を“お金を使わずに”日常へ実装できる。
つまり、お金ではなく“思考と構造”で時間を買うということだ。
たとえば僕の場合、
平日は考えずに動けるように、週末に無水カレーを仕込み、鶏むね肉を120〜150gずつ小分け冷凍しておく。
朝食は無水カレーを解凍して食べる。
お昼のお弁当は鶏肉を炒めて卵2つを目玉焼きにし、白ご飯の上に乗せるだけ。
食事を“選ぶ”時間をなくすだけでも、1日のリズムが整う。
通勤時間にはAudible(オーディブル)を聴いて、“移動”を“インプット”に変える。
出張の日は“思考の整理日”として、普段できないアイデア出しや文章構成の時間にあてている。
こうした小さな工夫でも、「外注」の代わりに“自分の設計で時間を買う”ことはできる。
ホルモジ原典|「時間を買う」7つの投資
ホルモジは「お金で時間を買う」という思想を徹底して生きている。
自分がやらなくてもいいことはすべて外注し、
“1日を24時間以上に伸ばす”ように仕組み化している。
| # | 項目 | ホルモジの実際の行動・言葉 |
|---|---|---|
| 1 | 食事の外注 | 「Uber Eatsや宅配ミールで1日2食固定。料理・片付けの時間をすべて削る」 |
| 2 | 洗濯サービス | 「Drop-off(預け洗い)を使い、1か月60〜80ドルで16時間を節約」 |
| 3 | 掃除の外注 | 「清掃スタッフに毎週依頼。自分では触らない。時間単価を守るため」 |
| 4 | 睡眠最適化 | 「耳栓・遮光カーテン・冷却マットレス。睡眠は最強の投資」 |
| 5 | 庭メンテ | 「芝刈りや掃除はすべて外注。『1時間=自分の時給』で考える」 |
| 6 | 通勤ドライバー | 「移動はUberか自動運転で“仕事タイム”に変える。ツイートもここで書く」 |
| 7 | 飛行機の時短 | 「JSXなどのセミプライベート便を利用。保安検査ゼロで1日を買い戻す」 |
「お金で時間を買うのは、贅沢じゃない。
未来の自分に“再投資”する行為だ。」
― Alex Hormozi
日本版 翻訳|「仕組みで時間を買う」7つの習慣
ホルモジのように全てを外注するのは現実的ではない。
けれど、考え方の本質──“時間の再投資”──は、
日本的な仕組み化や習慣設計でも十分に実現できる。
| # | 項目 | 日本版 実践アイデア |
|---|---|---|
| 1 | 食事の設計 | 週末の作り置き・固定メニュー化(例:無水カレー・鶏むね肉の小分け冷凍) |
| 2 | 洗濯の設計 | 「干さない」仕組み(乾燥機+ハンガー収納で畳む時間ゼロ) |
| 3 | 掃除の設計 | ルンバ+5分掃除ルール(掃除を“思考停止で回す”) |
| 4 | 睡眠の設計 | 寝る時間固定+スマホ遠ざけ(脳を休めるためのルール) |
| 5 | 持ち物の設計 | “持たない暮らし”で管理を減らす(庭や物を増やさない) |
| 6 | 通勤の設計 | 通勤時間を“学習タイム”に変える(Audible・読書・構想メモ) |
| 7 | 移動日の設計 | “移動日”を“思考日”に変える(出張=アイデア整理の時間) |
ホルモジは「金で時間を買え」と言うが、
僕たちは「思考で時間を設計する」ことができる。
“決断・手間・疲労を減らすデザイン”こそ、
僕らにとっての“時間を買う”ということだ。
「決断を減らす」と集中が戻る

ホルモジは毎日、同じ服を着る。
それはファッションではなく、脳のメモリ管理だ。
この考え方は、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなど、多くの創造的リーダーたちも実践している。
彼らに共通するのは、「決断のためのエネルギーを、重要な判断に残す」という姿勢だ。
これは心理学的にも「Decision Fatigue(決断疲れ)」と呼ばれる現象で、
人は1日に約3,000〜5,000回の小さな決断を無意識に行っており、
それが思考力や集中力をじわじわと削っていくとされている。
朝ごはん、服、通勤ルート、昼食、夜の予定──。
そうした“些細な選択”を減らすだけで、思考の余白は確実に増える。
「やることを増やすより、“考えずにできること”を増やす。」
たとえば、朝の服を3パターンに固定する。
通勤カバンの中身を常に同じにする。
昼食をルーティン化する。
それだけで、1日の「迷い」が消え、思考のエネルギーが戻ってくる。
結局のところ、“決断を減らす”とは、思考の余白を守る習慣設計なのだ。
そしてそれこそが、ホルモジの「時間を設計する」思想の、いちばん身近な入り口でもある。
時間の再投資先は“自分のエネルギー”

削った時間で何をするか。
ホルモジは「学び」「健康」「思考」に再投資するという。
それは、忙しい日常の中でも、
- 10分でも本を開く
- 20分でも筋トレする
- 15分でも散歩して考える
といった小さな行動でいい。
すぐに成果が出るわけではない。
けれど、“1%でも昨日の自分より成長する”という意識が、やがて大きな差になる。
習慣は、努力ではなく構造で続けるものだ。
小さな行動をスモールステップで積み重ねると、
それが複利のように効いてくる。
つまり、今日の10分が、1年後の自分の基礎体力をつくる。
「時間を浪費するのは罪じゃない。
何に使ったかを考えずに終えることが、いちばんの浪費だ。」
ホルモジの“時間設計”は、効率のためではなく、自分のエネルギーを回復させるための投資でもある。
その意味で、時間を削ることは「生き方の余白」を取り戻すことなのだ。
その余白を「お金」「仕組み」「習慣」で買い戻そう。
時間の奪い合いから、時間の設計者へ

結局、人生は「誰がいちばん時間を上手に使えたか」で決まる。
周りより速く走ることが偉いわけじゃない。
自分のペースで“生きる設計”を取り戻すこと。
それがホルモジの“時間設計の哲学”だ。
彼はこう語る。
「人生の成功は、“何を手に入れたか”ではなく、
“どれだけ自分の時間を取り戻せたか”で決まる。」
ホルモジにとって、時間とは通貨であり、資産であり、人生そのものだ。
人はお金を稼ぐために時間を使うが、彼は逆に「時間を稼ぐためにお金を使う」。
そしてその思想は、“効率化”の話ではなく、“自由”の話だ。
「お金は稼ぎ直せる。時間は二度と戻らない。」
僕たちはいつの間にか、“時間の奪い合い”の中で生きている。
仕事、家事、育児、SNS、情報──
すべてが「今すぐ」「早く」と迫ってくる世界で、自分の時間を他人の都合に切り売りしてしまう。
でも本当は、時間は奪われるものではなく、設計できるものだ。
少しずつ、選び方を変えていけばいい。
10分でも、15分でも、自分のための時間を“買い戻す”こと。
それはお金ではなく、意識の投資でできる。
「今の自分が未来の自分の雇用主だ。
今日の1時間の使い方が、5年後の人生を決める。」
― Alex Hormozi
この言葉を初めて聞いたとき、
「時間の使い方を変えることが、人生のデザインを変えることなんだ」と腑に落ちた。
焦って生きるのをやめて、自分のペースで、選んで、積み上げていく。
そうやって一つひとつ“時間を取り戻す”ことこそ、
僕たちができるいちばん確実な自己投資だと思う。
時間は“稼ぐ”ものじゃない。
“設計する”ものだ。
そして、設計できる人が、ほんとうの意味で「自由な人」なのだ。
【参考動画】
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